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『環境監視』 72-75号の要約

75号 2000年10月10日発行
タイトル 豊能美化センター焼却炉解体作業者の高濃度ダイオキシン類汚染事故について
著 者 中地 重晴
要 約 労働省は、能勢町にある豊能郡美化センターの焼却炉解体作業に従事した作業員がダイオキシン類に高濃度に曝露したことを発表した。解体作業員の血中ダイオキシン類濃度は平均値で一般人の約30倍高く、国内での汚染例としては最高値を示した。高濃度曝露の原因としては、作業計画のずさんさが挙げられる。後日に再度行なわれた血液検査では、ダイオキシン類濃度は前回の約1/3~1/5低い結果であったとしているが、今回の事故原因を明らかにし、被曝労働者の健康管理を長期間実施することが重要である。
タイトル 第5回“みずウォッチング”を終えて-木津川流域の一斉水質検査-
著 者 木村 正徳
要 約 今年(2000年)8月、木津川の河川敷をメイン会場として、"木津川流域みずウオッチング"を実施した。実施内容は(1)木津川流域一斉の水質検査、(2)水生生物調査・観察、(3)カヌー体験教室の3つであった。水質検査の結果、木津川本流は最上流域は非常にきれいで、上流、特に上野市周辺の汚濁がひどく、中・下流域で比較的安定してきれいになってくるという傾向であった。また、この傾向は過去のデータと同じであった。
タイトル 和歌山県・雑賀崎沖埋立計画とその問題点(上)
著 者 米田 頼司
要 約 1997年に突然、和歌山県雑賀崎(さいかざき)の沖合を大規模に埋め立てる港湾計画が発表された。この計画の問題点としては、景観・環境破壊という点に加え、埋立の必要性の無さや情報の非公開等といった、無駄な公共事業の典型であることが挙げられる。埋立計画としては残土処理とされているが、法制度的には産廃を持ち込むことも可能であり、懸念されるところである。また、事業費は全て税金で賄われるため、財政破綻の引き金にもなる恐れがあり、計画の見直しが必要である。
タイトル 低周波音症候群-その謎を追う III 行政の対応
著 者 汐見 文隆
要 約 メリヤス工場周辺住民の身体被害において、低周波音の測定が行なわれ、その原因は工場から出る低周波音であることが明らかになった。住民は県に対策を求め、県が低周波音を再測定することになった。しかし、県が企業に対して測定日を事前に通知したため、企業は測定日には操業を調節し、その測定結果は低周波音公害が証明されないものであった。その後の住民の測定により低周波音が実証されたのだが、県は発表を訂正することなく、加害者側である企業の味方に立つのであった。

74号 2000年8月10日発行
タイトル 豊島不法投棄事件・公害調停成立の評価と今後の課題
著 者 中地 重晴
要 約 豊島では1975年頃から約10年間に渡って産廃の不法投棄(約56万トン)が行なわれ、93年に、豊島住民は廃棄物の撤去を求めて公害調停を申請した。そして今年(2000年)6月に公害調停が成立し、豊島に不法投棄された廃棄物を完全撤去するため、隣の直島で2016年までに処理することが決定した。また、香川県知事が廃棄物の認定を誤り指導監督が不十分であったことを謝罪した。廃棄物の排出事業者に対して処理費用の一部を負担させたことは、廃掃法の改正を先取りしている。これから廃棄物の完全撤去まで十数年を要するが、今後、廃棄物処理が円滑に行なわれるかどうかは、香川県と住民とで構成される対策協議会での協議運営にかかってくるであろう。
タイトル アメリカで実用化されている自然エネルギーによる分散型発電について
-首都圏コープ・アメリカ環境NPOツアーに参加して(1)-
著 者 中地 重晴
要 約 今年(2000年)7月に環境NPO視察ツアーに参加し、ロサンゼルスを訪問した。ロサンゼルス郊外の風力発電では、発電事業者が風車を313台所有し、発電した電気を電力会社に売電していた。風力発電の問題はインフラ整備を誰が行うのかであり、また電力会社への売電価格をいくらにするかが普及へ向けての課題となるだろう。次に訪れたサクラメントでは、第3セクターで電力会社を運営し、住民投票で原発を廃止したため水力発電や太陽光発電による電力供給に力を入れていた。都市内の分散型の発電所として、太陽光パネルの設置場所を増加させている。
タイトル 低周波音症候群-その謎を追う II 未知との遭遇
著 者 汐見 文隆
要 約 和歌山に住むAさん夫妻は、隣のメリヤス工場の低周波音により被害を受け、本人にすれば原因不明の頭痛、肩凝り等の症状がでるようになった。工場側の騒音対策の実施で、騒音は収まったものの、A夫妻の諸症状は悪くなる一方であった。低周波音症候群は、個人差が激しいということが問題を難しくしており、低周波音の環境に長くいると次第に鋭敏化することが知られている。この工場の周辺においても、同様の被害を訴える人が多数いることが次第に明らかになったのだが、結局、工場が閉鎖するまでその被害は続いたのであった。

73号 2000年6月10日発行
タイトル 関西の環境ホルモンは要注意!
-関西生協連合会環境ホルモン調査のまとめ-
著 者 中地 重晴他
要 約 関西地方における主要河川中の、環境ホルモン物質の濃度レベルを把握する調査を実施した。98年冬より季節ごとに採水し、ノニルフェノール(NP)、ビスフェノールA(BPA)、及び12種類の農薬について測定を行なった。その結果、NP、及びBPAについては年間を通じて河川中から検出された。また、関西地方の河川は中国西部及び九州地方の河川に比べ、検出濃度が高い傾向が見られた。他に、産廃処分場排水の下流では、NP、BPAとも高濃度で検出され、魚類に影響を及ぼすレベルに近いこと、環境ホルモンの疑いのある農薬については検出頻度はそれ程高くないこと等が明らかになった。
タイトル 環境ホルモンについて(7)農薬ビンクロゾリンの抗男性ホルモン作用
著 者 中南 元
要 約 ビンクロゾリンは、野菜や果物等の栽培に用いられる殺菌剤の1種である。ビンクロゾリンは国産の農産物からも検出されているのだが、最近、抗男性ホルモン作用を持つことが報告された。ビンクロゾリンの環境ホルモン作用メカニズムは、ビンクロゾリン自身によるものでなく、ビンクロゾリンの代謝産物が男性ホルモンのレセプターへの結合を阻害することによるものであり、雄ラットへの長期間投与により、腹側前立腺と精嚢の萎縮などの抗男性ホルモン様作用が見られる。日本では、ビンクロゾリンは1998年に登録が失効したが、環境監視研究所で行なった調査では99年においてもなお河川中から検出されており、今後の動向に注意が必要である。
タイトル 低周波音症候群-その謎を追う I あらすじ
著 者 汐見 文隆
要 約 低周波音とは80ヘルツ以下の音を指し、周波数が低いため人の耳には聞こえない(あるいは聞き取りにくい)音である。低周波音公害は1970年代に登場したが、低周波音公害についての法律が存在しないため、被害への行政の対応は不十分であり、認知されない公害である。
タイトル 淀川水系の水質を調べる会第IV期調査 上野市周辺河川調査中間報告
著 者 山田 晴美
要 約 淀川水系の水質を調べる会は、1995年より淀川の支川の1つである木津川を中心にした調査を行なってきたが、その過程で、三重県上野市の排水が木津川へ大きな負荷を与えていることが明らかになった。上野市は下水道がほとんど未整備で、生活排水が未処理のまま河川へ放流されている地域である。そこで、上野市周辺の木津川流域について調査を行ない、理化学分析や変異原性ポテンシャル、環境ホルモン物質等について測定を行なった。その結果、上野市の生活排水によって木津川の水質が悪化すること、市内河川、排水路の水質はかなり悪いこと等が現段階で明らかになった。なお、調査は現在も継続中である。

72号 2000年4月10日発行
タイトル 研究所設立12周年にあたって
著 者 中地 重晴
要 約 この(2000年)4月で、研究所は設立12周年を迎えた。スタッフ増員による新体制をスタートするに合わせ、会報の誌面をB5版からA4版に一新し、創刊準備号から71号までの合本を作成した。
タイトル 笠間川生物調査中間報告-産廃処分場の水生生物への影響-
著 者 井上 泰江
要 約 「淀川水系の水質を調べる会」では、98年秋から名張川の支流である笠間川の生物調査を行なっている。笠間川は上流に産廃処分場があり、その排水の生態系への影響が懸念されるところである。本調査においては、最上流部では豊富な生物相が確認され、貧腐水性を示したが、産廃処分場排水が直接流入する地点では、生物相が激減し、生物の生息そのものが脅かされているのではないかと懸念される結果であった。今回は、1年間の調査結果を中間報告としてまとめたが、現在も調査は継続中である。
タイトル 笠間川生物調査の水質分析結果について
著 者 中地 重晴
要 約 笠間川生物調査地点において、水生生物採取と同時に採水し、理化学分析を行なった。その結果、最上流では汚濁が少ないが、下流へいくにつれて、生活排水や産廃処分場排水の合流により汚濁が進行していることが分かった。しかし、さらに下流へ行くと、山間部のきれいな水が流入し、上流と同程度の水質に回復していた。また、この傾向は水生生物の調査結果と一致していた。産廃処分場排水は、有機物汚濁(COD,BOD)や窒素濃度が高い結果であった。

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